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電力自由化 (管理組合トレンド)

(2016年3月28日)
2016年4月スタート!! 電力自由化でどう変わる? 分譲マンションのコスト削減策
電力自由化を考える

電力自由化を考える

家庭向けの電力小売りの自由化が2016年4月に迫っています。 これまでは、各家庭で契約する電力会社は事実上エリア毎に決まっていましたが、2016年4月からは、自由に電力会社を選べる時代に入ります。 電力自由化により分譲マンション管理組合では、どんな事に注意すればよいのか? 今からしておくべき事はなにか? どうすればお得なのか? を整理して解説します。

各家庭で一番安い電力会社を選べる

電力自由化によって、住戸単位で一番料金が安い(あるいは一番好きな)電力会社を選べるようになります。
2015年4月からは、各家庭で自由に「うちは東京電力から電気を買う」「うちは楽天から」「うちはソフトバンクから」と、電力会社を選んで買えるようになるという事です。

新電力

新しい電力が始まります

実は、既に企業向けには電力は自由化されている。

電力小売りは2000年に2000キロワット以上の特別高圧、2005年に50キロワット以上の高圧が自由化されました。
特定規模電力事業者(通称:新電力)の届け出は、約670社にのぼります。
ガス会社などが、割安な電気料金設定で契約を伸ばしているケースもありますし、太陽光発電や地熱発電の会社、あるいは産業用廃物処理施設の発熱を活用した電力会社もあります。

自由化の流れ

これまでも電力は段階的に自由化をされてきました

これら既自由化分野で東京電力は2015年3月までの累計ですでに約7%の需要(電力量ベース)を失っているとも言われています。
今後、家庭向けにも解禁されるというわけですから、電力会社は大きな危機感を持っています。

既存の電力会社も積極的です。
東京電力が、既に企業向けに中部電力や関西電力のエリアでの企業向け電力販売を開始したり、関西電力が千葉県の火力発電所を購入して首都圏への供給をもくろんだりするなど、他エリアへの供給に参戦しています。

電力会社はサービスの拡充や、携帯電話事業者、ポイントカード、ガス会社などとの提携を検討。

東京電力は、ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を展開するロイヤリティ マーケティング(三菱商事系)とリクルートとの間で、電気料金支払いでポイントが貯まるサービスの提供に合意しました。
更に、「Tポイント」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブとも提携しました。
ソフトバンクモバイルと全国規模での提携に向けた交渉を進めています。
このように、電力と通信のセット割引販売や、スマホを使った電力消費量の「見える化サービス」の提供などを、各電力会社は検討しています。
東京電力は既にNTTドコモ、KDDI(au)とも提携を協議しているのですが、太陽光発電などの新電力に積極的に投資をしているソフトバンクとの連携も視野に、その動きはスピーディかつ大胆です。

発送電分離によるメリットとは?

電力自由化の定義は、
 ・電力供給事業者の新規参入を認める(発電の自由化)、
 ・どの供給事業者からでも電力を買える(小売の自由化)、
 ・既設の送・配電網を使って電気を送・配電できる(送・配電の自由化)、
 ・そして、既存の電力会社の発電部門と送電部門を切り離す(発送電分離)
であるとされています。

せっかく安く発電したとしても、電線がなければそう簡単には電気を届ける事はできません。
これでは、送電網を持つ既存の電力会社に、新規参入企業が敵うわけはありません。
全国に電線を張り巡らす事は、新規参入した会社には実質不可能な事であるためです。

そこで政府は6月に、電気事業法改正案を参院本会議で可決成立しました。2020年には既存の大手電力会社から送電部門を別会社として切り離し、人事などで介入する事も禁じ、中立・公平性を高め、新電力も使いやすくするようにしていくという法案です。
すなわち発送電分離です。

これにより、送電線は今のインフラ、発電は新電力という組み合わせも、よりリーズナブルになるものと期待されています。

電力自由化のメリットとデメリット

規制緩和による電力自由化で期待されているのは、電力コストの削減です。

例えばイギリスでは、電力自由化した当初はなかなか上手く行かなかったものの、次第に競争が激化し、電気料金が40%もダウンしました。
RWE系(ドイツ)、E.ON系(ドイツ)、EDF系(フランス)、SSE系(英国)、イベルドローラ系(スペイン)、ブリティッシュ・ガス社(旧国有ガス事業社)の6社が自由に競争をしています。

我が国の身近な例では、電話会社の民営化が似た例ではないでしょうか? 
それまでの1社独占の電話網から、携帯電話3社の競争となり、各社が競争を行い、とてもリーズナブルな価格となりました。

また、太陽光発電など、自然エネルギーを重視している電力会社を選ぶ事が可能となります。
自由に電力会社を選べる社会は、各入居者の様々なライフスタイルに対応できる――人々の価値観を大切にする社会ともいえます。

しかし、デメリットも存在します。

その最も象徴的な事態が「停電」です。
コスト競争が激しくなる事で、インフラや発電設備の効率化が行なわれる事となり、結果的に、あるピーク時に電気が足りなくなってしまうという事態です。

イタリアのローマやミラノでは2003年6月、猛暑によって設備が不足し、計画的な停電が行なわれました。アメリカでも同年、43時間停電という歴史的な事故が発生し、5000万人が影響を受けました。

また、こうした競争は、時には石油価格の高騰などで、かえって大きな電力コストの上昇を招く事態もありえます。
国が規制をして上昇率に制限を加えると、民営化された電力会社が経営破たんをするケースもあり、実際に2001年4月には大手電力会社3社の一つであるパシフィック・ガス&エレクトリック社が破綻しました。
健全な競争は、料金削減の可能性の一方で、リスクもまた伴うものなのです。

そんなに安くはならないかも

こうしたリスクへの備えとして、電気事業法では、「30分同時同量」が義務付けられました。
「大量に電気消費が行なわれた時には、30分以内に足りない電力を買ってでも都合しなさい」という法律です。
これまでの大手電力会社は、30分という猶予はなく、「常時同時同量」が義務付けられていますので、それよりは緩和された措置ですが、それでもこれは容易な事ではありません。

太陽光発電を中心とするソフトバンクなどの新電力の場合は、どうしても発電量は天候などに左右されます。
足りなくなった際に電気を融通する事はそう簡単ではなく、大手電力会社から電気を購入するしかありません。

現状も、新電力会社の発電量が不足した時は大手電力会社が発電量を増やし、新電力会社の発電量が超過した時は大手電力会社が自社の発電量を減らして超過分を吸収しています。
このバランスが一定であれば問題はありませんが、3%以上ずれた場合、新電力会社が大手電力会社へ弁償的に支払うのが「インバランス(発電量と電力消費量の差)料金」となります。
このコストが新電力の経営を圧迫し、「そんなに安くならないのではないか」とも言われています。

また、発送電分離は2020年である為、それまでは大手電力会社に送電コストを支払う事になります。
原油価格が現時点で安く、大量購入メリットは大手電力会社にありますから、新電力の電気料金がそれほど安くならないという可能性はあります。

一括受電で、共用部分の光熱費を削減

分譲マンションの理事会としては、来る電力自由化において、どのような対応が考えられるでしょうか?

2016年4月以降、管理組合がなんらかの決議を行わない限り、様々な電力会社との契約が、住戸単位で自由に出来る事になります。各家庭が、様々な電力会社と契約を結ぶ事が出来るようになるのです

その一方で、分譲マンション一棟で丸ごと一括受電を行うと、現時点でも、電力コストは大きく削減する事が可能です。共用部の光熱費を20~40%削減するなど、分譲マンションの一括受電は、管理組合にとって大きなメリットがあります。

一括受電

一括受電は、分譲マンションのコストカットに有効

しかし、4月以降、仮に各住戸が新電力と契約してしまうと、一括受電契約はかなり困難になります。自分達のマンションがどのように受電していくかを考える事が必要となっています。

年間百万円単位のコストカットも可能

一括受電した場合には、仮に200戸のマンションであれば、共用部分の電気料金が現在年間600万円・電気代30%削減とすれば、180万円が管理組合に還元されます。
修繕積立金が不足しているケースは充当する事も考えられますし、長期修繕計画に不足がなければ、修繕積立金を減らす事も可能でしょう。

入居者にとっては、各種ポイントサービスの付与など、様々な特典が検討されており、新電力とのサービスの競争は激しくなると予測されています。

低圧受電を高圧受電に変更する設備投資費用や工事費などは、電力会社が負担するなど、月々の電気料金以外についても、トータルでの比較検討が必要です。

こうした各論についても、個別のマンションのケースによって異なるため、専門家と相談する事をお薦めします。

全員の合意形成から、絆が生まれる

 このように、全戸一括受電は、コストメリットが大きく、マンション理事会で是非とも検討しておきたいテーマのひとつです。この際、「各家庭で自由」とする結論はもちろんあるでしょう。全員で議論して、より安い電力を選択して一括受電とする選択もあるでしょう。

いずれにせよ、未来の自分達の暮らしに関わるエネルギーについて、膝を交えて、住民みんなで話し合う事はとても良い事です。

話し合いをする事無く、4月を迎え、「あー、一括受電にしておけば安かったのに」と後悔をしないためにも、是非、セミナーなどで学習する事をお薦めします。

 

投稿者:マンプロ編集長 (34)
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